2026.03.23

東京を離れて気づいた、人生の“土台”のつくり方。転勤族の妻が「もう動かない」と決めた愛媛でのキャリア

鍋田さん
Interviewee 鍋田さん

千葉県松戸市生まれ。都内の大学を卒業後、新卒で大手お菓子メーカーに入社。結婚を機に退職し、夫の転勤に伴い福岡、広島で暮らす。3人の子育てと並行して、住宅リフォーム会社で営業や人事・採用業務に従事しキャリアを再開。2024年、愛媛県松山市へ移住。「次に引っ越した街からはもう動かない」と決意し、水処理メーカーである株式会社ダイキアクシスへ転職。現在は人事部にて採用担当を務める。

愛媛県松山市。
家の前の水路を覗き込むと、ドジョウが泳ぎ、モクズガニが身を潜めている。
子どもたちは目を輝かせ、どうやって捕まえようかと自分で調べ、罠を仕掛ける。東京の整備された森林公園では決して見られない、野生の「学習サイクル」がここにはある。

その光景を眩しそうに見つめるのは、鍋田さん。千葉県で生まれ育ち、東京は身近な場所だった。

現在、彼女は愛媛県松山市に本社を置く水処理メーカー「ダイキアクシス」で、採用担当として働いている。

かつては東京のど真ん中で、大手お菓子メーカーの営業としてバリバリ働いていた彼女。
なぜ今、縁もゆかりもなかった愛媛の地で、「水」の会社を選んだのか。
これは、妻として、母として、そして一人のビジネスパーソンとして、自分の人生の“土台”を築き直したひとりの記録である。

「誰かを幸せにしたい」という原動力

鍋田さんのキャリアの原点は、幼少期の家庭環境にある。
共働きの両親に代わり、彼女の面倒を見てくれたのは祖母だった。

「おばあちゃんが喜んでくれる、褒めてくれるのが何より嬉しかった」

その原体験が、彼女の就活の軸を決めた。
「人が喜ぶこと、幸せを感じることに関わりたい」

生きることに直結する「衣食住」の中でも、最も身近な幸福感を与えられるもの。
彼女が選んだのは、大手お菓子メーカーだった。
営業職として配属され、大手スーパーを飛び回り、商品をいかに魅力的に並べるかを考え、商談をこなす日々。
「誰かに幸せを届ける仕事」は楽しく、やりがいがあった。

だが、27歳で結婚し、人生のフェーズが変わる。夫が福岡へ転勤することになったのだ。
“会社ありきの個人”として働くことに限界を感じ始めた鍋田さんは、自分に問いかけた。

「私自身の幸せって、なんだろう?」

違和感に蓋をすることはできなかった。悩み抜いた末に退職を決意。
会社の未来を考え配置配慮の提言までするほど、愛着があった。だが、後悔はなかった。
「やりきった」という手応えとともに、キャリアを一度手放した。

多忙な日々の中で芽生えた「違和感」

福岡へ引っ越してほどなく、母となった。知らない土地での初めての育児。ママ友をつくり、文字通り子育てに「奮闘」した。

しばらくして広島への転勤が決まった。夫の仕事に合わせて、住む街は変わっていく。

双子を妊娠・出産し、家族という基盤の形も変わった。子どもが成長していくにつれ、鍋田さんのなかで「働きたい」という熱が徐々にともっていった。

見つけたのは、従業員十数名の小さな住宅リフォーム会社。在宅勤務の営業からスタートし、やがて「人事・採用」を任されるようになる。

会社は急成長し、入社時に十数名だった組織は、気づけば30名を超えていた。規模が拡大するのにあわせ、人事や採用だけではなく、制度設計や予算の組み立てなど、経営に近い業務も期待されるようになった。

しかし、猛烈な忙しさの中で、ふと立ち止まる。

「私は、本当にやりたい『採用』の仕事に100%の力を注げているだろうか?」
「自分らしく、丁寧に生きられているだろうか?」

人を幸せにしたい。でも、そのためには自分自身も、自分の家族も幸せでなければならない。

30代最後の年、「やりたいと思ったことをやろう」と決意したタイミングで、夫の愛媛への転勤が決まった。

「水」と「人事」。生きる土台をつくる仕事へ

「次に引っ越したところからは、もう動かない」
そう心に決めていた彼女は、新たな地元となる愛媛の企業に絞って転職活動を始めた。

そこで出会ったのが、ダイキアクシスだった。

主力事業は「水処理」。環境を守り、水をきれいにする会社だ。

一見、お菓子メーカーやリフォーム会社とは無縁に見える、“堅い”インフラ企業。だが、彼女の中では明確に線が繋がっていた。

「人を幸せにするには、まず自分や家族が幸せでなければいけません。そしてそのためには、『安心・安全』という土台がしっかりしていないといけないと気づいたんです」

当たり前に水が出て、衛生的に暮らせること。

インフラという「土台」があって初めて、人の幸福感は生まれる。

ダイキアクシスの「PROTECT×CHANGE(未来は、守りながら変えることができる)」というコーポレートメッセージに、強く心が打たれた。

そして彼女は、この会社で「人事」として働くことを選んだ。

「人の幸せをつくる会社であるためには、働く従業員自身が幸せでなければいけません。働く人の心理的安全性を守り、会社の基盤を整える。それが私のやりたいことでした」

水という、生活の土台を支える企業で、働く従業員たちの「土台」をつくる。

それこそが、彼女が求め続けた「人を幸せにする」ための本質だと気づいたのだ。

給与の2倍の価値がある場所

愛媛での暮らしは、想像以上に豊かだった。
コンパクトシティの利便性と、すぐそばにある海や山。
東京のように「つくられた自然」ではない、むき出しの自然が日常に溶け込んでいる。
魚は驚くほど新鮮で、野菜は甘い。

「食べ物がおいしい。それだけで、人生って幸せだと思うんです」

会社でも、彼女の思いに共感してくれる仲間がいた。

「社内に共感してくれる人が3人いると、給与の価値が2倍になるって聞いたことがあるんです。今、まさにそう感じています」

新しいことに二の足を踏むこともある。だけど「やってみないとわからないよね」と背中を押してくれる環境がある。

ダイキアクシスという老舗企業は今、ラウンドテーブルミーティングで社員の不満を吸い上げ、プロジェクト化して変革を起こそうとしている。

「会社ありきの人生じゃなくて、人生の中の会社」

その土台作りに、彼女は採用担当として最前線で関わっている。

住む場所は、どこだっていい。今の自分、今の家族にあった暮らしが大事。
だから今、近所の水路のほとりで、子どもたちと笑う。

自分のやりたい仕事に100%の情熱を注ぎ、生きるための「水」を守る。

誰かに用意された幸せではなく、違和感に蓋をせず自分の手で選び取った「ベターな選択」。鍋田さんの笑顔は、愛媛の空のようにどこまでも澄み切っていた。

鍋田さんが働くダイキアクシスの紹介記事をここから読めます

SECOND編集部
Author SECOND編集部

「大人のベターな選択」を支援する、移住&キャリアマガジン編集部。場所や常識に縛られず、人生を再編集するための「戦略」としてのローカルライフを提案する。きれいごとではないリアリティのある移住者インタビュー、独自の視点で切り取った企業ドキュメンタリー、賢く生きるためのコラムを発信中。

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