2026.01.28

捨てられたものを、繋ぐ。老舗が挑む、手ざわりのある組織改革

愛媛県松山市、空港通りを走ると、カネシロの拠点が見えてくる。

そこに広がるのは、うずたかく積まれた古紙の山と、黙々と動く重機の群れだ。漂うのは、どこか懐かしい紙の匂いと、絶え間なく響く機械の駆動音。

ここは、都市の華やかさとは無縁の場所だ。しかし、この場所が止まれば、街の循環は途絶える。

「僕たちの仕事は、マイナスからのスタートなんです」

そう静かに語るのは、取締役で事業統括部部長を務める小池雄大氏だ。かつて東京や名古屋で、出版流通大手の社員として、大規模な仕組みの中で働いていた経歴を持つ。

都会でキャリアを歩み出した彼は、あえて家業である「ゴミ」の世界に戻り、今、組織づくりに取り組もうとしている。その背景には、スマートな都市の仕事では得られない、圧倒的な「手ざわり感」があった。

うずたかく積まれた段ボールのかたまり。これが資源である。

「ゴミ屋」という呼称と、100年の自負

カネシロの始まりは、100年前に遡る。

先々代のひいおじい様が、リヤカー一台で始めた「金城商店」。かつては生活困窮者の自立を支える、いわば社会福祉に近い役割も担っていた。リヤカーがトラックになり、個人商店が会社組織へと変わる中で、一貫して扱ってきたのは、人々が「不要」として手放した物たちだ。

現場の作業風景

「昔は、トラックで保育園に迎えに来るような家庭でした」と小池さんは振り返る。

かつて、この業界の社会的地位は決して高くはなかった。「ゴミ屋」という言葉に、誇りを持てずにいた時代もあったかもしれない。しかし、時代は変わった。環境意識の高まりとともに、彼らが扱うものは「廃棄物」から「再資源」へと定義を変え、行政や大手企業にとって欠かせないパートナーとなっている。

カネシロは今、単なる収集運搬業者ではない。集めたものをメーカーへ繋ぐ「直納権」を持つ、商社に近い機能も有している。この「100年かけて築いた信頼のインフラ」こそが、小池さんが改革を託された土台である。

75日の休日、組織図のない現場

しかし、外から見た安定感とは裏腹に、内部には「地方の中小企業」特有の課題が山積していた。
小池さんが8年前に入社した当時、年間休日はわずか75日。組織図はなく、社長と数人の部長がすべての意思決定を担う、いわば「属人的な経営」の極致だった。

「東京の大きな会社で仕組みを学んできた自分からすると、あまりに未整備でした。朝礼に遅刻する者がいたり、就業規則が何十年も更新されていなかったり。でも、現場の力は凄まじい。そのギャップを埋めるのが僕の役割だと思ったんです」

小池さんは、10年後を見据えた計画を立てた。
まずは人事制度を見直し、評価制度を整え、年間休日を110日まで増やした。現場に任せきりだった業務を可視化し、新卒採用を強化した。

それは、古くから会社を支えてきた先代たちのやり方を、現代の基準へとアップデートしていく、泥臭く根気のいる作業だった。

「改革」という言葉は響きが良いが、現実はもっと地味だ。古い慣習を持つ社員との対話、制度の矛盾との格闘。スマートなプレゼン資料が通用しない世界で、彼は一歩ずつ、組織としての「箱」を作り直してきた。

地域スポーツの興業も支援する

求めるのは「完成された歯車」ではない

今、カネシロは変革の真っ只中にある。
小池さんが求めているのは、すでに出来上がったシステムの中で器用に立ち回る人間ではない。

「営業も、ガツガツ数字だけを追えばいいわけじゃない。同業他社とも良好な関係を築き、地域に根を張りながら、新しい資源の活用法を提案していく。広く浅くでもいい、世の中の動きに敏感で、自ら情報を取ってこれる人が必要です」

社内の陸上部

ここには、誰もが知る派手なプロジェクトはないかもしれない。しかし、全業種を相手にする営業の奥深さがあり、自分の提案一つで地域の回収ルートが変わり、リサイクルの効率が劇的に向上する瞬間がある。
自分の仕事が、街を、そして地球の循環をどう変えているのか。その実感が、ここでは数字ではなく「物量」と「景色」として現れる。

仕組みに「乗る」か、仕組みを「作る」か

小池さんは今、部門長たちにホームページの刷新や新しい仕組みづくりを任せている。「従業員のワクワクを作っていくのが経営者の仕事」と言い切る彼の視線は、次の100年を向いている。

都会の洗練されたオフィスで、最適化された仕組みの一部として働くことに、微かな物足りなさを感じてはいないか。

カネシロという舞台には、まだ「余白」がある。100年の歴史という強固な土台の上に、自分たちの手で新しい組織の形を描いていく。それは、単なるキャリアアップ以上の、人生における「手ざわり」を取り戻す選択になるはずだ。「ゴミ」を資源に変えるように、未整備な組織を、誇り高いプロフェッショナル集団へと変えていく。

その泥臭くもクリエイティブな挑戦に、あなたの力を貸してほしい。
松山の空の下で、小池さんとカネシロの現場は、新しい「同志」を待っている。

COMPANY

愛媛県松山市に本社を置き、創業100年を迎える「総合リサイクル・ソリューション企業」。古紙、金属、古布、プラスチックなどの回収から中間処理、再資源化までを一貫して手がけ、地域の循環型社会(サーキュラーエコノミー)を支える不可欠なインフラを担っている。製紙メーカー等への「直納権」を持つ商社としての機能を強みに、地場の製造業と強固なネットワークを構築。現在は4代目候補を中心に、伝統ある現場のDX推進や組織改革を断行しており、100年続く歴史を土台に「老舗ベンチャー」として廃棄物処理業界のイメージ刷新と、持続可能な社会づくりに挑んでいる。

RECRUIT

会社名
株式会社カネシロ
勤務地
愛媛県松山市(本社・各工場)
募集職種
1. 営業・営業企画(次世代リーダー候補)
2. 経営管理・総務(組織基盤の再構築・DX推進)
仕事内容
1. 営業・営業企画
単なるルートセールスに留まらず、全業種・全業界を対象とした資源回収・リサイクル提案を行います。市場の動向を読み、どの素材に価値があるかを見極める「商社」的な動きや、100年続く同業他社とのネットワークを活かしたアライアンス構築など、小池取締役の右腕として営業組織の仕組みそのものをアップデートしていくポジションです。

2. 経営管理・総務
100年企業の「守り」を再定義する役割です。「年間休日110日」への完全移行や、時代に即した就業規則の刷新、評価制度の運用など、組織の土台作りを担います。また、現場のIT化(DX推進)や広報活動の刷新など、アナログだった老舗企業を「現代のプロフェッショナル集団」へと脱皮させるためのバックオフィス改革を推進します。
SECOND編集部
Author SECOND編集部

「大人のベターな選択」を支援する、移住&キャリアマガジン編集部。場所や常識に縛られず、人生を再編集するための「戦略」としてのローカルライフを提案する。きれいごとではないリアリティのある移住者インタビュー、独自の視点で切り取った企業ドキュメンタリー、賢く生きるためのコラムを発信中。

JOIN

SECONDコミュニティに参加して
「ベターを選べる」情報をGET

自分らしい暮らしや働き方を模索する、
大人のためのコミュニティ。
非公開の求人情報や、
イベントの案内をお届けします。