2026.02.03

田舎度とセンスは比例する。限界集落という名の“高難易度ダンジョン”を遊びつくせ

SECOND編集長のトヨタです。

よく「都会の喧騒に疲れたから、田舎でのんびり暮らしたい」という声を聞きます。
いわゆる「ていねいな暮らし」への憧れです。

ですが、あえて言わせてください。
田舎で豊かに暮らすには、東京で生きるよりも遥かに高い「センス」が必要です。

ここで言うセンスとは、服がお洒落だとか、インテリアが素敵といった表面的な話ではありません。
「状況を編集し、ないものを生み出し、暮らしをシステム化する能力」。つまり、「生きるための総合力」のことです。

今日は、私が実際に見てきた「田舎暮らしの残酷な真実」について書こうと思います。

東京は「あそぶ」まち、田舎は「つくる」まち

まず、大前提となる「ゲームのルール」が違います。

東京や都会でのセンスとは、「選ぶセンス」を指します。
おいしい店、おしゃれな服、快適なマンション。すべてはお金を出せばそこにあり、私たちは膨大な選択肢の中から「どれを選ぶか」で個性を表現します。いわば、装備を買って強くなるタイプのゲームです。

一方、地方都市(国道沿いにイオンがあるような街)。
ここは言葉を選ばずに言えば、「センスが不要な街」です。
生活のすべてはモールの中にパッケージ化されており、バイヤーが選んだものを消費すれば、そこそこ快適に生きられます。ある意味で、最も攻略しやすい「イージーモード」と言えます。

しかし、限界集落レベルの「ド田舎」に行くと、ゲーム性は一変します。
店はない。インフラは弱い。自然は容赦なく襲ってくる。
ここでは「選ぶ」ことができません。「つくる」しかないのです。

素材を集め、道具を作り、環境そのものをハックする。
生半可な覚悟で挑めば即ゲームオーバーになる、「高難易度ダンジョン」のようなもの。この「つくるセンス」がないと、田舎暮らしは一気に詰んでしまいます。

実録!限界集落で見た「センスあるおじさん」たち

私が一時期を過ごしたことのある、とある「限界集落」を例に出しましょう。
ここには、残酷なほどの「センス格差」が存在していました。

多くの家では、先祖代々の田畑で淡々と作物を作っていました。獣害や天候不順に悩み、出来栄えもまばら。「田舎だから不便なのは仕方ない」と、環境をただ「受動的に消費している」状態です。

一方で、衝撃を受けたのが、センスの塊のようなおじさん(Aさん)です。
彼は、ただの田舎暮らしを「クリエイティブな実験場」に変えていました。

  • 害獣をマネタイズ: 厄介者のイノシシを罠で仕留め、市から報奨金をもらいつつ、肉はジビエとして活用。
  • 熱エネルギーの自給: 「エアコン代がもったいない」と、家の周りに水路を引き込み、気化熱で家を冷やすシステムを自作。
  • 繁殖のプロ: 多肉植物やメダカ、鯉を養殖し、独自の生態系(ビオトープ)を作り上げている。

もうひとり、コミュニティ・デザイナーのようなおじさん(Bさん)もいました。

  • 養蜂ビジネス: 蜂を飼い、自家製ハチミツを生産(プロダクト開発)。
  • イベント企画: 知り合いの「そば職人」と近所の「蕎麦粉を作っている人」をマッチングさせ、住民を集めて手打ち蕎麦イベントを開催。

彼らは、田舎の不便さを嘆きません。
不便さをトリガーにして、「じゃあどう遊ぶか? どうシステムをつくるか?」を設計しているのです。

「ていねいな暮らし」は、超高度な専門技術だ

都会の人は、薪割りや家庭菜園を「スローライフ」と呼びます。
しかし実際は、薪の乾燥率を計算し、土壌のphバランスを整え、虫と戦い、保存食を作る……という、「超・ロジカルでマルチタスクな業務」です。

つくるセンス。捨てるセンス。繋げるセンス。
これらを総動員しなければ、あの「ていねいな暮らし」は維持できません。

東京で「消費のプロ」として生きてきた私たちが、いきなりこの「生産のプロ」たちの土俵(限界集落)に上がっても、太刀打ちできるわけがないのです。

30代、東京人が磨くべきは「つくるセンス」

もしあなたが、将来的に田舎暮らしや移住を考えているなら。
今のうちから磨くべきは、美味しい店を知っている「選ぶセンス」ではありません。

  • トラブルが起きた時、手持ちのカードでどう切り抜けるか。
  • 人と人を繋げて、新しい楽しみをどう作るか。
  • 「ないならつくる」というDIY精神(物理的な工作に限らず)。

この「つくるセンス」が、自分自身にあるのか、見極めておく必要があります。

田舎に行けば行くほど、求められるスペックは高くなる。
「田舎ならのんびりできる」という甘えを捨て、「自分はゼロから暮らしを設計できるか?」と自問すること。

それが、移住という高難易度ゲームをクリアするための、最初の鍵になるはずです。

トヨタ
Author トヨタ

SECOND編集長。
首都圏と地方を行き来する二拠点生活を送りながら、「人と地域の相性」を感情ではなく構造で考える編集者。
企業・自治体のプロジェクトにおいて、企画立案、事業推進、情報発信設計を担当。編集者としての視点を活かし、マーケティングを起点とした事業整理や、複雑な意思決定プロセスの構造化を得意とする。

JOIN

SECONDコミュニティに参加して
「ベターを選べる」情報をGET

自分らしい暮らしや働き方を模索する、
大人のためのコミュニティ。
非公開の求人情報や、
イベントの案内をお届けします。