移住する町は「決算書」で選べ。子育て世代の狙い目は“金持ち自治体”
はじめまして。SECOND編集部のトヨタです。
首都圏と愛媛県の二拠点生活をしており、常々「人と地域には相性がある」と思っています。
ただ、この「相性」という言葉を、多くの人は「海が見えるか」「山がきれいか」といった「情緒的なマッチング」と捉えがちです。
もちろん、地理的な条件や、まちがもつ雰囲気は大切です。
しかし、生活は旅ではなく「日常」の連続です。もしあなたが子育て世代で、長期的な生活の質(QOL)を上げたいなら、見るべきはまちの雰囲気だけではありません。
もっとシビアな相性、すなわちその自治体の「決算書(お財布事情)」を見る必要があります。
「豊かな街に住めば、豊かな暮らしができるのか?」
この問いに対する答えは、残酷なほどにYESです。
今回は、あえて感情論抜きの「自治体選びの戦略」について話そうと思います。
ここからは事実を淡々と伝えるため、少しドライなトーン(断定調)で語らせてください。
そもそも「豊かな街」とは何か?
日本の自治体には、明確な「貧富の差」がある。
指標となるのが「財政力指数」だ。
ざっくり言えば、この数字が高いほど「自分たちで稼ぐ力」があるということ。
特に、国からのお小遣い(交付金)に頼らず、自分たちの税収だけで黒字経営できている自治体を「不交付団体」と呼ぶ。
全国に約1,700ある自治体のうち、これに該当するのはわずか数十自治体(約4〜5%)しかない。残りの9割以上は、国の支援がないと成り立たないのが現実だ。
では、「金持ち自治体」に住むと何が起きるか。
シンプルに、住民サービスがアップグレードされる。
- 子どもの医療費が、高校卒業まで(所得制限なしで)完全無料
- 小中学校の給食費が完全無償
- 海外留学・語学研修への補助金や、ネイティブ英語講師の増員
- 出産祝い金や入学祝い金が、数万〜数十万円単位で支給される
- 図書館、温水プール、公園などのハコモノが豪華で新しい
- 水道料金や国民健康保険税が安い
これらは、国からの支援(交付金)で成り立っているわけではない。すべてこの地域で稼ぐ力があるからこそ実現できている、住民への「配当」なのだ。
「東京」は豊かだが、コスパが悪い
「じゃあ、一番金持ちな東京(特別区)に住めばいいじゃないか」と思うかもしれない。
確かに港区や千代田区の行政サービスは手厚い。出産祝い金や独自の手当も破格だ。
しかし、東京には「生活コスト」という巨大な怪物がいる。
3LDKで家賃30万円超えは当たり前。スーパーの物価も高い。
さらに恐ろしいのが「競争コスト」だ。豊かな環境を求めて教育熱心な層が集まるため、中学受験戦争は激化し、習い事への課金ゲームには天井がない。
つまり、東京は行政サービスはSランクだが、維持費もSランクなのだ。これでは、手元に残る「豊かさ」は目減りしてしまう。
狙い目は、地方の「企業城下町」
そこで私が子育て世帯に提案したいのは、 地方にある、隠れ金持ち自治体(企業城下町)に住むことだ。
例えば、世界のトヨタを擁する愛知県豊田市。
巨大な工場群を持つ茨城県神栖市や、山梨県忍野村(ファナック)など。
これらの街は、日本を代表するグローバル企業が落とす莫大な「法人税」や「固定資産税」によって潤っている。
その結果、何が起きているか。
生活コスト(家賃・食費)は地方水準なのに、行政サービスは東京水準という、バグのような逆転現象が起きているのだ。
家賃6万円で広い家に住みながら、給食費はタダ、医療費もタダ、週末は立派な市営ジムや科学館で遊ぶ。
浮いたお金は、教育費や家族旅行、あるいは投資に回せる。
これが、地方の豊かな街が持つ「経済的合理性」だ。
愛媛県に見る「稼ぐ街」と「コスパの街」
ちなみに、私が仕事の拠点にしている愛媛県を例に見てみよう。
ここもまた、面白い「分散」が起きているエリアだ。
まず、新居浜市や西条市といった東予エリア。
ここは住友グループの発祥の地や、造船・重化学工業が集積する、四国屈指の「工業地帯(稼ぐ街)」だ。
製造品出荷額は全国でも上位に入り、その税収がインフラや公共施設にしっかりと還元されている。まさに「地方の企業城下町」の典型例と言える。
一方、県庁所在地である松山市。
ここは巨大工場があるわけではないが、「圧倒的な生活コスパ」で勝負している。
「コンパクトシティ」として機能が凝縮されており、東京なら十数万円するようなクオリティのマンションに、5〜6万円台で住めることも珍しくない。
浮いた固定費で、週末は道後温泉へ行き、瀬戸内の新鮮な魚を食べる。
「税収が潤沢な街」を選ぶか、「固定費が極端に下がる街」を選ぶか。
愛媛県一つとっても、東京とは全く違う「豊かさのポートフォリオ」が組めるのだ。
子どもが「世界」に触れる日常
話を戻そう。「企業城下町」に住むメリットはお金だけではない。
「どんな仕事が世界を動かしているか」を、肌感覚で学べる環境があることだ。
東京の住宅街に住んでいると、親の仕事は「パソコンに向かう謎の作業」になりがちだ。
しかし、産業が集積する街では違う。
「あの大きな工場で、世界中の車を作っているんだよ」
「このロボットの会社は、世界シェアNo.1なんだよ」
街の空気に「生産」の息吹がある。
科学技術館や工場見学施設が充実していることも多く、最先端の技術や、グローバルに働く大人たちの姿を間近に見ることができる。
これは、偏差値教育とは別の軸での、強力なキャリア教育になるはずだ。
移住は「自治体への投資」である
移住先を決める時、私たちはつい「雰囲気」や「直感」を優先しがちだ。
だが、あえてドライに言おう。
移住とは、あなたの税金と生活を預ける「投資先の選定」でもある。
万年赤字で公共施設が老朽化していく街と、黒字経営で次々と新しい子育て支援策を打ち出す街。
同じ住民税を払うなら、どちらのリターン(配当)が大きいかは明白だ。
もちろん、企業城下町には「企業が傾けば街も傾く」というリスクもある。
だからこそ、単に「今お金持ちだから」というだけで飛びつくのではなく、その街が「税収を未来(教育やインフラ)に投資しているか?」を見極める必要がある。候補地リストの中に「財政力指数」や「産業構造」というフィルターを一枚重ねてみてほしい。
そこには、ガイドブックには載っていない「ベターな選択」が隠れているはずだ。
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