盤石な基盤があるから挑戦できる。ローカルIT企業が挑む「世界基準への変革」
松山市の中心地から少し離れた、落ち着いた住宅街の一角。
1990年の設立以来、30年以上にわたって地域のシステムを支え続けてきた企業がある。
株式会社ユイ・システム工房。
一見すると、地方によくある堅実なシステム開発会社だ。
だが、その扉を開けると、意外な熱気が漂っている。
中心にいるのは2025年5月に代表取締役に就任したばかりの稲葉さん、36歳だ。
彼のキャリアは、この穏やかな松山の風景とは少し異質だ。
公認会計士の資格を持ち、世界有数のコンサルティングファーム(BIG4)で、海外のビジネス最前線を渡り歩いてきた。
しかし、彼に「堅苦しいエリート感」は微塵もない。フランクに笑い、社員の可能性を誰よりも信じている。
そんな稲葉さんが今、経営のバトンを受け取り、決断したこと。それは、「地方の安定企業」という殻を破り、社会の変化に合わせて自らを変え続ける組織へと進化させることだった。「ローカルだから、ここまででいい」そんな妥協は一切ない。
盤石な基盤があるからこそ、世界を見据えた変革に挑む。そのために、ここへ来たのだ。
盤石な基盤と、危機感と
ユイ・システム工房のエンジニアたちは優秀だ。
顧客が求める仕様を完璧に実装する力がある。事実、会社がここまで安定して成長してこれたのは、実直にシステムを開発してきたエンジニアたちの実力があってこそだ。
だが、稲葉さんは危機感を隠さない。
「AIが台頭するこれからの時代、ただ言われたモノを作るだけのビジネスはいずれ限界が来ます」
エンジニアの価値が変わる。
だからこそ、これまでの「受託開発」で培った技術力を武器に、自分たちから顧客の課題を解決する「提案型」へシフトしなければならない。
そして、その視線は松山だけでなく、世界へと向いている。
現在、外資系IT企業との提携を進め、松山にいながらグローバルな案件を回す体制を構築中だ。
「地域のシステム屋」が、世界基準の仕事を取りに行く。
このギャップこそが、ユイ・システム工房の面白さだ。

IT企業は「人」こそすべて
IT業界には、悲しい現実もある。「人月商売」という構造の中で、エンジニアを単なる「労働力」として扱い、使い捨てにするような現場もゼロではない。
だが、稲葉さんの考えは対極にある。
「僕らのビジネスは、100%、人のビジネスなんです」
システム開発は、専門家の集団だ。一朝一夕で技術は身につかない。一人前になるには数年かかる。その「人」こそが唯一の資産であり、競争力のすべてだ。
だからこそ、彼は「人への投資」を惜しまない。
地方企業の相場にとらわれず給与体系を見直し、エンジニアが長く働き続けられる環境を追求する。それは単なる優しさではない。「人材の好循環」を作るための経営戦略だ。
良い待遇で、良い人が育つ。良い人が育てば、顧客に高い価値を提供できる。結果、会社の利益が増え、また人に還元できる。
この当たり前だが難しいサイクルを、本気で回そうとしている。

だからこそ、ユイ・システム工房では、会社からの投資を糧に、自らの技術を磨き、変化を恐れずに成長し続けられる人を求めている。
そして、そんな「変化」を象徴するような人材が、実際に現れ始めている。
「明日、ニューヨークへ行けるか?」
取材の場に、稲葉さんはひとりの若手を連れてきた。今年、新卒で入社したばかりの宇都宮さんだ。
彼は、これまでの同社の採用基準からすれば、明らかに「異分子」だ。
学生時代、知人の紹介で同社の会長と食事をした際、こう聞かれたという。
「明日、ニューヨークに行けと言われたら、行けるか?」
宇都宮さんは即答した。「行けます!」
そのスピード感と度胸を買われ、彼は入社した。
技術はこれからだが、物怖じしないコミュニケーション力がある。
社長に対しても「それは違うと思います」と平気で意見をぶつける。
静かな社内に、彼のような「ノイズ」が入ることを、今のユイ・システム工房は良しとしている。
既存のベテランたちが守ってきた技術という「基盤」に、宇都宮さんのような若手が新しい「風」を吹き込む。

その化学反応を、会社全体で楽しもうとしているのだ。
安定と挑戦の、いいとこ取り
もちろん、会社はまだ変革の途中だ。
長年会社を支えてきたベテランたち、そして技術の最前線を守るエンジニアたちへの敬意こそが、すべての前提だ。彼らの存在こそが、この会社の心臓部なのだから。
だからこそ、焦って表面的な改革を押し付けることはしない。
変えようとしているのは「人」ではなく、会社という「構造」だ。
メンバーと対話を重ね、じわじわと、しかし確実に、最深部から組織の在り方をアップデートしていく。
完成された組織に入るのではない。確かな技術力と資本を持つ老舗企業が、殻を破ろうとする瞬間に立ち会う。
それは、ビジネスパーソンにとって「創業メンバー」になるのと同じくらい、エキサイティングな体験かもしれない。

松山にいながら、視座は世界へ。
まだ完成していないからこそ、会社の変革そのものを自分事として楽しみ、共に新しい景色を見に行きたい。
そんな野心ある大人にとって、今のユイ・システム工房は、最高の実験場だ。
COMPANY - 会社情報 -
創業以来、松山の地で30年以上にわたり社会インフラを支えてきたシステム開発会社。放送・医療・公共分野での安定した受託開発を基盤に持ちつつ、現在は新経営体制のもとで「世界基準」への変革を推進中。海外パートナーとの連携や自社サービスの開発など、「地域のシステム屋」という枠を超えたグローバルな事業展開に挑戦している。
RECRUIT - 求人情報 -
- 会社名
- 株式会社ユイ・システム工房
- 勤務地
- 愛媛県松山市(本社)
※リモートワーク可(ハイブリッド勤務推奨) - 募集職種
- 1.エンジニア
2.クリエイティブパートナー - 仕事内容
- 「Local × Global × Tech」で事業を変革するコアメンバーを募集します。創業30年以上の安定基盤を活かしながら、受託開発からの脱却とグローバル展開を推進します。
1.エンジニア(正社員)
・地域インフラ(放送局・公共・医療等)のDX企画・開発
・制御・組込系システムの設計開発
・海外パートナー企業と連携したグローバル案件の推進
2.クリエイティブパートナー(業務委託)
・変革期にある同社のコーポレートブランディング、採用広報のディレクション
・自社サービスのUI/UXデザイン改善
※技術者集団の中に「デザインと思想」を吹き込み、企業価値を再定義する役割です